「洗濯機の洗い時間は何分がいいのだろう?」と、ふと疑問に感じたことはありませんか。
毎日何気なく使っている洗濯機ですが、その設定一つで衣類の仕上がりや寿命が大きく変わることがあります。
特に洗い時間は、汚れ落ちに直結する大切な要素です。
例えば、縦型洗濯機とドラム式では最適な洗い時間が異なりますし、5分、8分、15分といった時間設定で汚れ落ちにどれほどの差が出るのか気になるところです。
洗い時間が3分では短すぎるのか、あるいは、すすぎ1回で済ませる場合や脱水時間は何分がいいのか、といった細かい疑問も尽きません。
この記事では、単に洗い時間を短縮する方法だけでなく、汚れが落ちる条件を根本から理解し、あなたがお持ちの洗濯機で実践できるおすすめ設定まで、網羅的に解説します。
失敗や後悔のない、最適な洗濯方法を見つけるためのヒントがここにあります。
- 洗濯機の洗い時間に関する基本的な考え方
- 縦型とドラム式における最適な設定の違い
- 汚れの種類や衣類に応じた効果的な洗い方
- 洗濯時間を短縮しつつ綺麗に仕上げるための実践的なコツ
洗濯機の洗い時間は何分がいい?基本を解説

- 洗い時間は5分・8分・15分どれが正解?
- 洗い時間が3分では短すぎる?
- 汚れが落ちる条件は時間だけじゃない
- 縦型洗濯機の特徴と洗い時間
- ドラム式の洗い時間が長めな理由
洗い時間は5分・8分・15分どれが正解?

洗濯機の洗い時間について、5分、8分、15分という選択肢の中から「これが絶対の正解」と一概に言うことはできません。
なぜなら、最適な時間は主に「汚れの度合い」と、お使いの「洗濯機のタイプ」という2つの大きな要因によって決まるからです。
まず「汚れの度合い」についてです。
軽い汗汚れ程度であれば5分、日常的な皮脂汚れなら8分から10分、泥汚れなどの頑固な汚れには15分、というのが一つの考え方です。
長すぎる洗浄は衣類を傷めたり、一度落ちた汚れが再び付着する「再汚染」を招くこともあるため、汚れに応じて時間を見極めることが大切です。
そして、ここからが重要なポイントですが、上記の5分から15分という時間設定は、主に豊富な水量で洗う「縦型洗濯機」を基準とした考え方です。
一方で、少ない水量でたたき洗いをする「ドラム式洗濯機」では、この基準は当てはまりません。
ドラム式は、使用する水が少ない分、洗剤をじっくり浸透させて洗浄力を補うために、意図的に洗い時間が長く設定されています。
このため、後の見出しで詳しく解説するとおり、ドラム式では日常的な洗濯物であっても20分程度の洗い時間が良いとされています。
このように、最適な洗い時間を知るには、まず「どの程度の汚れを落としたいか」を考え、次にお使いの洗濯機が縦型かドラム式かによって、時間の基準を調整するという二段階で考える必要があります。
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洗い時間が3分では短すぎる?

洗濯機の「お急ぎコース」や「スピードコース」では、洗い時間が3分から5分程度に設定されていることが多く、この短時間で本当に汚れが落ちるのか不安に思う方もいるかもしれません。
この問いに対する答えは、「洗濯物の量と汚れの程度による」となります。
洗い時間が3分という設定は、基本的に「汚れが非常に軽いもの」を「少量」洗う場合に限定して有効だと考えられます。
例えば、一度袖を通しただけでほとんど汚れていないシャツや、汗を吸っただけの肌着などを1〜2枚だけ洗うようなケースです。
しかし、通常の洗濯物量(洗濯槽の7割程度)を3分で洗おうとすると、いくつかの問題が生じる可能性があります。
第一に、洗剤が水に完全に溶け、繊維の奥まで浸透して洗浄力を十分に発揮するには、ある程度の時間が必要です。
3分という短い時間では、洗剤が本来の力を出し切る前に排水されてしまう恐れがあります。
第二に、洗濯物同士が十分に撹拌されず、洗いムラが発生しやすくなります。
これにより、汚れが十分に落ちなかったり、洗剤がすすぎきれずに衣類に残ってしまったりする事態につながります。これが肌トラブルや生乾き臭の原因になることも少なくありません。
日常的な洗濯においては、洗浄効果が安定して得られる5分以上の洗い時間を確保することが、清潔な仕上がりへの近道です。
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汚れが落ちる条件は時間だけじゃない

洗濯で衣類を綺麗にするために洗い時間を意識することは大切ですが、実は汚れが落ちるかどうかは、時間だけで決まるわけではありません。
むしろ、他の複数の条件が複雑に絡み合って洗浄効果が決定されます。いくら時間を長く設定しても、これらの条件が満たされていなければ、期待するほどの効果は得られないのです。
主に洗浄力を左右するのは、「洗剤の量」「水量と洗濯物量のバランス」「水温」そして「機械力」という4つの要素です。
洗剤の量
洗剤は多すぎても少なすぎてもいけません。
製品のパッケージに記載されている使用量の目安をきちんと守ることが基本です。
水量と洗濯物量のバランス
洗濯物が水の中でダイナミックに動くことで、汚れは効果的に引き剥がされます。
しかし、洗濯物を詰め込みすぎると衣類が十分に動かず、洗浄力が著しく低下します。
一般的に、洗濯槽の7割程度までの量に抑えるのが理想的です。
また、洗濯機が自動で設定した水量でも、かさばる衣類が多い場合は手動で水量を一段階増やすと、汚れ落ちが改善されることがあります。
水温
一般的に、水温が高いほど洗剤に含まれる酵素や洗浄成分が活性化し、特に皮脂や油といった頑固な汚れが落ちやすくなります。
お風呂の残り湯を「洗い」に使うのが効果的なのはこのためです。
ただし、衣類の素材によっては高温で縮んだり色落ちしたりするリスクもあるため、洗濯表示の確認は欠かせません。
機械力
縦型洗濯機の力強い水流や、ドラム式洗濯機のたたき洗いといった「機械力」も、汚れを物理的に剥がし取る上で重要な役割を果たします。
それぞれの洗濯機の性能を理解し、適したコースを選ぶことで、この機械力を最大限に活用できます。
このように、洗い時間の設定と合わせて、これらの条件にも目を向けることが、洗濯の質を向上させる鍵となります。
縦型洗濯機の特徴と洗い時間

縦型洗濯機は、洗濯槽の底にあるパルセーター(回転羽根)を回して力強い水流を生み出し、衣類同士をこすり合わせるようにして洗う「もみ洗い」が特徴です。
豊富な水量で衣類をダイナミックに洗浄するため、洗浄力が高いことで知られています。
この洗浄方式のメリットは、特に泥汚れや皮脂、食べこぼしといった固形の汚れや頑固な汚れに強いことです。そのため、育ち盛りの子供がいるご家庭や、作業着などを洗う機会が多い場合に適しています。
ドラム式に比べて短い時間で済むのは、たっぷりの水と強力な水流によって、効率よく汚れを分解・除去できるためです。日常的な洗濯であれば、この基本設定で十分な洗浄効果が期待できます。
ただし、その高い洗浄力は、裏を返せば衣類への負担が大きくなる可能性があることも意味します。
デリケートな素材やおしゃれ着を洗う際には、生地の傷みや型崩れを引き起こすリスクがドラム式よりも高くなる傾向にあります。
そのため、衣類の種類に応じて「手洗いコース」や「ドライコース」などを適切に使い分ける配慮が必要です。
要するに、縦型洗濯機はパワフルな洗浄力が魅力であり、基本の洗い時間(8〜10分)で多くの汚れに対応できますが、衣類へのダメージという側面も理解した上で使用することが求められます。
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ドラム式の洗い時間が長めな理由

ドラム式洗濯機は、洗濯槽を回転させて衣類を持ち上げ、上から下へ落とす「たたき洗い」を主な洗浄方式としています。
しかし、洗浄力を高めるためには、縦型洗濯機に比べて洗い時間を長く設定する必要があります。
ドラム式の洗い時間が20分程度、あるいはそれ以上に設定されることがあるのは、この洗浄方式と節水性が大きく関係しています。
少ない水量で洗浄効果を最大限に引き出すため、ドラム式は時間をかけてじっくりと洗剤を衣類に浸透させ、たたき洗いを繰り返すことで汚れを剥がし落とします。
たたき洗いだけでは落としきれない汚れも、長い時間をかけることで洗剤の化学的な力で分解していくのです。
もし縦型と同じような短い時間で洗浄を終えてしまうと、特に頑固な汚れに対しては洗浄力不足に陥る可能性があります。
また、最近の高性能なドラム式洗濯機には、温水洗浄機能が搭載されているモデルも多くあります。
これは、水温を上げることで洗剤の効果を高め、少ない水量と機械力でも高い洗浄力を確保するための工夫です。
このように、ドラム式の洗い時間が長いのは、節水性能を維持しながら洗浄力を確保するための合理的な設計に基づいています。
節水という大きなメリットを享受する一方で、洗濯に時間がかかるという点は、ドラム式洗濯機を選ぶ際に理解しておくべき特性と言えます。
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洗濯機の洗い時間は何分がいい?設定変更のコツ

- 洗い時間を短縮する方法と注意点
- 洗濯機のおすすめ設定をマスター
- すすぎ1回の場合の洗い時間は何分?
- 脱水時間は何分がいい?シワ防止のコツ
洗い時間を短縮する方法と注意点

忙しい毎日の中で、洗濯にかかる時間を少しでも短縮したいと考えるのは自然なことです。
洗濯機本体の洗い時間を短く設定するためには、洗濯機に入れる前の「ひと手間」が非常に効果的です。
最も有効な方法は、「予洗い(前処理)」や「つけ置き」を実践することです。
こうすることで、頑固な汚れが繊維から浮き上がりやすくなり、洗濯機での短い洗い時間でもスッキリと落とせるようになります。
また、臭いや黄ばみが気になるタオルなどは、洗面器やバケツにぬるま湯と酸素系漂白剤を入れ、30分から1時間ほどつけ置きするのも良い方法です。
このひと手間によって、洗濯機での洗浄効率が格段に向上します。
ただし、注意点もいくつかあります。
まず、予洗い自体に手間と時間がかかるため、トータルの家事時間が必ずしも短縮されるとは限りません。あくまで洗濯機が稼働している時間を短くするための方法と捉えるのが良いでしょう。
また、洗濯機の「スピードコース」や「お急ぎコース」は、予洗いなしで使うと洗浄力が不足しがちです。
これらのコースは、もともと汚れが軽いものを少量洗うために設計されているため、汚れの度合いを見極めて使用しないと、汚れ残りや臭いの原因となるため注意が必要です。
洗濯機のおすすめ設定をマスター

洗濯の仕上がりを格段に向上させるには、洗濯機に搭載されている「全自動」や「おまかせ」コースに頼りきるのではなく、洗濯物の状態に合わせて設定を自分でカスタマイズすることが鍵となります。
全自動は便利ですが、衣類や汚れの状態は毎回違います。
ここでは、洗濯の質を劇的に向上させるための、より一歩踏み込んだ手動設定の考え方と具体的な数値を、洗濯機のタイプ別に解説します。
【縦型洗濯機】洗浄力を最大限に引き出す設定
縦型洗濯機の強みは、豊富な水量と強力な水流による高い洗浄力です。この特徴を最大限に活かすための設定がこちらです。
設定項目 | おすすめ設定値 | 具体的な理由とワンポイントアドバイス |
洗い時間 | 8分~10分 | 日常的な汗や皮脂汚れにはこの時間で十分です。研究データ上、これ以上長くしても洗浄効果は大きく変わらず、むしろ衣類を傷める原因になります。 |
水量 | 手動で「最高水位」に | 洗濯物が水中でダイナミックに泳ぐことで、繊維の奥の汚れまでしっかり落とせます。自動設定では水量が不足しがちなので、手動で多めに設定するのがおすすめです。 |
すすぎ | 「ためすすぎ」で2回 | 1回目のすすぎで大半の洗剤を落とし、2回目で繊維の奥に残った見えない汚れや洗剤を完全に流し切ります。これが、洗剤残りによる肌トラブルや嫌な臭いを防ぐ重要なポイントです。 |
脱水時間 | 3分~5分 | 通常の衣類はこの時間で十分乾きます。長すぎる脱水は、頑固なシワや生地の傷みの原因です。特に毎日使うタオルがゴワゴワになるのを防ぐ効果があります。 |
【ドラム式洗濯機】節水と洗浄力を両立させる設定
ドラム式は、少ない水で衣類を上から下に落とす「たたき洗い」が基本です。節水性が高い反面、洗浄力を確保するには縦型とは異なる設定が求められます。
設定項目 | おすすめ設定値 | 具体的な理由とワンポイントアドバイス |
洗い時間 | 20分 | 少ない水量を補い、たたき洗いで洗剤を繊維の奥までじっくり浸透させるために、洗い時間を長く取ることが不可欠です。この時間が、節水と高い洗浄力を両立させるための鍵となります。 |
水量 | 変更可能なら多めに | 機種によっては変更できませんが、もし水量を手動で増やせる場合は、多めに設定すると洗いムラや汚れの再付着を防ぎやすくなります。 |
すすぎ | 「注水すすぎ」で2回 | 新しい水を流しながらすすぐ「注水すすぎ」は、少ない水量を補い、効率的に洗剤を排出できるため、ドラム式に最適なすすぎ方です。 |
脱水時間 | 3分(ワイシャツは1分) | 3分で十分な脱水が可能です。特にシワをつけたくないワイシャツやブラウスは1分に設定してみてください。あえて水分を残すことで、干した時に水の重みで自然にシワが伸び、アイロンがけが格段に楽になります。 |
ご自身の洗濯スタイルに合わせてカスタマイズした設定を「わが家流コース」などとして記憶させておける機能が付いた洗濯機もあります。
こうした機能を活用すれば、毎回設定し直す手間も省け、効率的に質の高い洗濯を続けることができます。
関連記事 洗濯のすすぎ一回で服が臭い?原因と正しい洗濯方法を解説
すすぎ1回の場合の洗い時間は何分?

「すすぎ1回でOK」と表示された洗剤を使用する際、洗い時間も短くすべきなのか迷うことがあるかもしれません。この場合の洗い時間は、基本的に通常通り(5分~10分程度)で問題ありません。
「すすぎ1回対応」の洗剤は、泡切れが非常に良く、洗浄成分が繊維に残留しにくいように特別に設計されています。
そのため、すすぎの回数を1回に減らしても、洗剤が衣類に残る心配が少ないというのが特徴です。
これは、あくまで「すすぎ」工程に関する性能であり、「洗い」の工程で汚れを落とす力とは直接関係ありません。
したがって、汚れを落とすために必要な洗い時間は、通常の洗剤を使う場合と同じように考える必要があります。
すすぎが1回だからといって、洗い時間まで極端に短くしてしまうと、洗浄力が不足して汚れが残ってしまう可能性があります。
すすぎ1回を選ぶ最大のメリットは、使用する水の量を大幅に削減できる「節水効果」と、すすぎ工程が一つ減ることで得られる「時短効果」です。
環境にもお財布にも優しく、忙しい現代のライフスタイルに適した洗濯方法と言えます。
ただし、肌がデリケートな方や赤ちゃん用の衣類を洗う場合は、たとえ対応洗剤であっても、洗剤の残留が気になることがあるかもしれません。
そのようなケースでは、念のため2回すすぎを選択すると、より安心して着用できるでしょう。
脱水時間は何分がいい?シワ防止のコツ

洗濯の最終工程である脱水は、長ければ長いほど良いと思われがちですが、実はそうではありません。
脱水時間もまた、目的に応じて適切に設定することで、衣類の仕上がりを大きく改善できます。
脱水を開始すると、最初の1分間でほとんどの水分が排出されます。その後は、時間を長くしても水分の抜け方は非常に緩やかになります。
むしろ、長すぎる脱水は多くのデメリットをもたらします。
洗濯槽の遠心力によって衣類に強い圧力がかかり、頑固なシワが刻み込まれてしまいます。
また、繊維が強く引っ張られることで生地が傷んだり、タオルのパイルが抜けてゴワゴワになったりする原因にもなります。
これらの点を考慮すると、脱水時間は3分から5分に設定するのが基本です。
これだけの時間でも、日常的な衣類を干すのに十分な水分は切れています。
そして、特にシワを防ぎたい衣類に関しては、脱水時間を1分に設定するのが最も効果的です。
アイロンがけの手間を大幅に減らすことができる、非常に有効なテクニックです。
要するに、脱水は「しっかり水を切る」ことよりも「衣類を傷めず、シワを防ぐ」ことを意識して、時間を短めに設定するのが、賢い洗濯のコツとなります。
関連記事 洗濯で脱水しないで干す「ぬれ干し」のメリットとやり方
まとめ|洗濯機の洗い時間は何分がいい?
記事のポイントをまとめます。
- 最適な洗い時間に絶対の正解はなく汚れの度合いと洗濯機のタイプで決まる
- 軽い汚れは5分、日常的な汚れは8分から10分というのが一つの目安
- この時間設定は主に水量が多い縦型洗濯機を基準とした考え方
- ドラム式は水が少ない分、洗浄力を補うため洗い時間を20分程度に長くする必要がある
- 洗い時間が長すぎると衣類を傷めたり汚れが再付着するリスクも考慮する
- 汚れ落ちは洗い時間だけでなく水量・水温・洗剤量が大きく影響する
- 洗濯物は詰め込みすぎず洗濯槽の7割程度に抑えるのが基本
- 縦型洗濯機はたっぷりの水で洗うため洗浄力が高いのが特徴
- ドラム式洗濯機はたたき洗いで節水性に優れるが洗浄に時間が必要
- 全自動に任せず手動で設定をカスタマイズするのが洗濯の質を高めるコツ
- すすぎは洗剤残りを防ぎ清潔に仕上げるため2回が推奨される
- ドラム式なら新しい水を足しながらすすぐ「注水すすぎ」が効果的
- 脱水時間は3分から5分が基本で生地への負担を減らせる
- ワイシャツなどシワを防ぎたい衣類は脱水1分がおすすめ
- 襟袖の汚れなどを予洗いすれば洗濯機本体の洗い時間は短縮できる