新築やリフォーム、あるいは模様替えの際に、洗濯機のコンセントの高さや位置をどう決めるべきか、悩んでいませんか。
最適な場所はどこなのか、またコンセントは常に差しっぱなしで良いのか、それともこまめにプラグを抜く方が節電につながるのか、気になる点は多いと思います。
さらに、安全面ではアースの必要性や、ついやってしまいがちなタコ足配線と延長コードの危険性も正しく理解しておく必要があります。
コンセント周りがごちゃついて見えるのを隠したい場合には、市販のカバーや便利なタップの活用法も知りたいところです。
中には、そもそも洗濯機置き場にコンセントがないという状況や、水漏れに備えて防水コンセントを検討すべきかという専門的な悩みもあるかもしれません。
そして、万が一洗濯機の調子が悪い時に、プラグを抜くリセットで故障が直るのかまで、考え始めると疑問は尽きないものです。
この記事では、これらのあらゆる悩みや疑問に答え、安全で快適な洗濯機周りを実現するための知識を分かりやすく解説します。
- 洗濯機に最適なコンセントの高さと位置
- アースや防水コンセントなど安全性を高める方法
- タコ足配線や延長コードの危険性と正しい使い方
- コンセント周りのトラブルや悩みを解決する具体的な対策
洗濯機のコンセント高さと最適な設置位置

この章では、洗濯機まわりのコンセントを設置する上で基本となる、最適な高さと位置、そして安全性を高めるための重要なポイントについて解説します。
- 水漏れリスクを避けるコンセントの位置
- アース取り付けの必要性と接続方法
- 水回りに安心な防水コンセントの選び方
- 洗濯機置き場にコンセントがない場合の対処法
水漏れリスクを避けるコンセントの位置

洗濯機用のコンセントを設置する際、最も配慮すべき点の一つが水漏れのリスクです。したがって、コンセントの位置は安全性に直結する重要な要素となります。
一般的に、水は上から下へと流れます。このため、給水ホースを接続する水栓の真下にコンセントを配置するのは非常に危険です。
このようなリスクを避けるため、コンセントは水栓の真下ではなく、必ず横にずらして設置することが推奨されます。
理想としては、水栓とコンセントを同じ高さで横並びにし、20cmから30cmほどの間隔をあけると、より安全性が高まります。
また、設置する壁面については、洗濯機本体の正面が最も使いやすく、おすすめです。
正面にあれば、縦型洗濯機でもドラム式洗濯機でも、機種による干渉を心配する必要がありません。さらに、電源コードの抜き差しや、後述するホコリの掃除がしやすくなるというメリットもあります。
見栄えを気にして洗濯機の背後に隠してしまうと、いざという時の対応が遅れたり、掃除が億劫になったりする可能性があるため、安全性とメンテナンス性を優先した位置選びが大切です。
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アース取り付けの必要性と接続方法

アース線の接続は、洗濯機を安全に使用するために極めて重要な役割を果たします。
アース線は、万が一製品が故障したり劣化したりして電気が漏れてしまった(漏電した)際に、その電気を地面に逃がすための「逃げ道」です。
なぜなら、洗濯機は水と電気を同時に使用する家電製品であり、他の家電に比べて漏電のリスクが本質的に高いからです。
経済産業省が定める技術基準でも、水気や湿気の多い場所で使用する電気機器へのアース設置が義務付けられています。
アース線の接続は、ご自身で簡単に行うことが可能です。接続方法は主に2種類あります。
ネジタイプ
コンセントプレートにあるアース端子のカバーを開け、中のネジをドライバーで少し緩めます。アース線の先端(銅線部分)をネジに巻き付け、緩めたネジをしっかりと締めて固定します。
ワンタッチタイプ
アース端子のカバーを開け、中の穴にアース線の先端を奥までしっかりと差し込むだけで接続できます。
どちらのタイプも、作業前には必ず洗濯機の電源プラグをコンセントから抜いてください。
また、接続後はアース線を軽く引っ張り、抜けないことを確認しましょう。もしコンセントにアース端子がない場合は、専門の資格を持つ電気工事業者に依頼してアース端子付きコンセントを増設する必要があります。
自分で判断せず、必ずプロに相談してください。
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水回りに安心な防水コンセントの選び方

洗濯機置き場のような湿気が多く、水しぶきがかかる可能性のある場所では、通常のコンセントよりも安全性の高い「防水コンセント」の設置を検討する価値があります。
防水コンセントは、その名の通り、水や湿気の侵入を防ぐ構造になっています。
一般的な製品は、コンセントの差込口を覆うカバーが付いており、プラグを差し込むとカバーが閉じて内部への水の侵入をブロックします。
飲食店の厨房や屋外などでよく使用される設備ですが、家庭内の水回りでも大きな安心材料となります。
さらに、防水コンセントの多くは、安全性を高めるための工夫が施されています。
- 下向きの差込口: コードを伝って水が流れてきても、プラグの差込口に入りにくいよう、下から差し込む設計になっています。
- 抜け止め(ツイストロック)機構: プラグを差し込んだ後に少しひねることでロックがかかり、コードの重みや振動でプラグが不意に抜けてしまうのを防ぎます。
これにより、通常のコンセントで起こりがちな「コードの重みでプラグが抜けかかる」といった問題も解消できます。洗濯乾燥機のように消費電力が大きく、運転中に振動が発生する機器には特に有効な機能です。
資格のない方が自分で作業を行うことは法律で禁止されており、大変危険です。
交換を希望する場合は、必ず資格を持った電気工事業者やリフォーム会社に依頼してください。
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洗濯機置き場にコンセントがない場合の対処法

賃貸物件や古い住宅では、想定される洗濯機置き場に専用のコンセントが設置されていないケースがあります。
このような状況で、安易に他の部屋から延長コードを使って電源を確保するのは絶対に避けてください。
その理由は、洗濯機、特に乾燥機能付きのものは、運転時に非常に大きな電力を消費するからです。
一般的な延長コードは、安全に使用できる電力の容量(定格容量)が定められており、多くは合計1500Wまでです。
洗濯乾燥機は単体でこの容量を超える場合があり、容量オーバーのまま使用し続けると、延長コードが異常に発熱し、被覆が溶けてショートしたり、最悪の場合は火災につながったりする重大な事故の原因となります。
したがって、洗濯機置き場にコンセントがない場合の最も安全で確実な解決策は、有資格者による「専用コンセントの増設工事」です。
コンセント増設工事の流れ
- 分電盤の確認: まず、分電盤に空き回路があるかを確認します。
- 配線工事: 分電盤から洗濯機置き場まで、壁の内部などを通して新しい電気配線を引きます。
- コンセント設置: 壁に穴を開け、配線を接続してコンセント器具を取り付けます。
この工事により、洗濯機のためだけの安全な電源回路が確保されます。
工事は必ず電気工事士の資格を持つ専門業者に依頼する必要があります。費用はかかりますが、火災のリスクを考えれば、安全のための必要不可欠な投資と言えます。
他のリフォーム(壁紙の張り替えなど)と同時に依頼すると、手間やコストを抑えられる場合もあります。
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洗濯機のコンセント高さに関する悩みと安全対策

ここでは、日常的に洗濯機を使用する上で生じるコンセント周りの具体的な悩みや、見落としがちな危険性、そしてそれらを解決するための安全対策について詳しく掘り下げていきます。
- コンセントは差しっぱなしで大丈夫?
- ごちゃつく配線を隠したい時のカバー活用術
- 危険なタコ足配線を避けるための注意点
- 延長コードが使用できない家電とは
- スイッチ付きタップで安全に管理するコツ
- コンセントを抜く節電は本当に効果的か
- コンセントを抜くリセット方法で故障は直る?
コンセントは差しっぱなしで大丈夫?

洗濯機の電源プラグを「使うたびに抜くべきか、それとも差しっぱなしで良いのか」は、多くの方が悩むポイントです。
結論から言うと、基本的には差しっぱなしでも大きな問題はありません。
なぜなら、近年の家電製品は省エネ性能が向上しており、洗濯機も例外ではないからです。電源がオフの状態での待機電力は非常に小さく、電気代に与える影響はごくわずかです。
毎日使う家電のプラグをその都度抜き差しするのは手間がかかり、かえって長続きしない可能性があります。
ただし、差しっぱなしにする場合には注意すべき点があります。
それは「トラッキング現象」による火災リスクです。
トラッキング現象とは、コンセントとプラグの隙間に溜まったホコリが、空気中の湿気を吸うことで電気の通り道となり、ショートして発火する現象を指します。
この現象を防ぐためには、定期的な掃除が不可欠です。
少なくとも年に一度はプラグを抜き、乾いた布でコンセント周りとプラグの刃をきれいに拭き、ホコリを取り除きましょう。
特に、湿気が多くホコリが舞いやすい脱衣所に設置している場合は、よりこまめな手入れを心がけることが大切です。また、旅行などで長期間家を空ける際は、安全のためにプラグを抜いておくことをお勧めします。
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ごちゃつく配線を隠したい時のカバー活用術

洗濯機周りは、電源コードやアース線がむき出しになりがちで、見た目がごちゃついてしまうことに悩む方も少なくありません。
このような場合、市販の「コンセントカバー」や「配線カバー」を活用することで、見た目をスッキリさせながら安全性を高めることができます。
コンセントカバーは、コンセントプレート全体を覆うアイテムです。
ネジで固定するタイプなど様々な製品があり、元のプレートを外して付け替えることで、コンセントの差込口やアース端子をまるごと隠せます。
さらに、小さなお子様やペットがいるご家庭では、コンセントへのいたずらや感電を防ぐ安全対策としても非常に有効です。
一方、床や壁を這う電源コードやアース線を隠したい場合は、粘着テープ付きの配線カバー(モール)が役立ちます。コードをカバーの中に入れ、壁や床に貼り付けるだけで、複数のケーブルを一本にすっきりとまとめることが可能です。
これらのアイテムは、ホームセンターや100円ショップでも手軽に入手できます。色やデザインも豊富なため、壁紙やインテリアに合わせて選ぶことで、機能性とデザイン性を両立させることが可能になります。
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危険なタコ足配線を避けるための注意点

家庭内の電気火災の原因として特に多いのが、タコ足配線による過負荷(容量オーバー)です。
日本の家庭用コンセントは、一つの差込口から安全に使用できる電気の総量が「15A(アンペア)/1500W(ワット)」までと定められています。
タコ足配線で複数の家電を同時に使うと、この上限を簡単に超えてしまう可能性があります。
家電製品 | 消費電力の目安(W) |
洗濯乾燥機(乾燥時) | 1200~1400W |
電子レンジ | 1000~1500W |
ヘアドライヤー | 600~1200W |
電気ケトル | 1000~1300W |
炊飯器(炊飯時) | 1000~1300W |
上の表からも分かるように、洗濯乾燥機は単体でコンセントの容量のほとんどを消費します。
ここに、他の家電をタコ足配線で接続して同時に使用すると、確実に容量オーバーとなります。
容量を超えた状態が続くと、電源タップやコードが異常発熱し、被覆が溶けてショートしたり、発火したりする危険性が極めて高くなります。
ブレーカーは通常20Aで作動しますが、これは回路全体の保護が目的です。個々のコンセントや電源タップは15Aまでしか耐えられない設計になっていることを忘れてはいけません。
洗濯機は、必ず壁のコンセントに単独で接続して使用することが、安全の鉄則です。
延長コードが使用できない家電とは

タコ足配線と同様に、延長コードの使用にも細心の注意が必要です。特に、洗濯機を含む消費電力の大きい家電製品に、安易に延長コードを使用することは推奨されません。
また、コードが細いものや、長さが必要以上に長いものは、電気抵抗が大きくなり、電圧が低下して家電製品の性能を十分に発揮できなかったり、故障の原因になったりすることもあります。
前述の通り、洗濯機は大きな電力を必要とするため、延長コードの使用は原則として避けるべきです。
どうしてもコンセントまで距離が足りない場合は、以下の点を確認してください。
- 定格容量の確認: 使用する洗濯機の消費電力を上回る、十分な容量を持つ延長コードを選びます。
- コードの太さ: コードはなるべく太く、短いものを選びます。コードを束ねたまま使用すると、熱がこもって発火の危険性が高まるため、必ず全て伸ばして使用してください。
しかし、これらはあくまで次善の策です。
最も安全なのは、壁のコンセントに直接プラグを接続することです。延長コードを恒常的に使用するのではなく、コンセントの増設工事を検討することが、長期的な安全確保につながります。
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スイッチ付きタップで安全に管理するコツ

スイッチ付きの電源タップは、待機電力のカットや電源管理に便利なアイテムですが、その使い方を正しく理解しておくことが大切です。
スイッチ付きタップの最大のメリットは、プラグを抜き差しすることなく、手元のスイッチで個別に電源のオン・オフが切り替えられる点にあります。これにより、使用していない家電の待機電力を手軽にカットでき、節電に繋がります。
しかし、スイッチ付きタップも製品である以上、全体の定格容量(合計1500Wまで)は壁のコンセントと同じです。
したがって、洗濯機のような消費電力の大きい機器をここに接続するのは危険です。
スイッチ付きタップの賢い使い方は、テレビ周りのレコーダーやゲーム機、パソコン周りの周辺機器など、一つ一つの消費電力は小さいものの、数が多くて待機電力が気になる機器をまとめることです。
もし洗濯機周りで使うのであれば、例えば防水タブレットの充電器やBluetoothスピーカーといった、消費電力の小さな機器の管理に限定するのが良いでしょう。
その際も、タップ全体の容量を超えないように注意が必要です。タップはあくまで「小電力機器の便利な管理ツール」と捉え、大電力機器は壁のコンセントに直接接続するという原則を守ってください。
コンセントを抜く節電は本当に効果的か

「使わない家電はコンセントからプラグを抜くと節電になる」という話はよく聞かれますが、その効果は家電の種類によって大きく異なります。
これらの機器は、使わない夜間や外出中にプラグを抜いておくことで、ある程度の節電効果が期待できます。
一方で、近年の省エネ性能が向上した洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなどは、待機電力がもともと非常に小さく抑えられています。
そのため、これらのプラグをこまめに抜き差ししても、節約できる電気代はごくわずかです。むしろ、抜き差しの手間や、予約機能がリセットされてしまう不便さの方が大きくなる可能性があります。
また、Wi-Fiルーターや固定電話のように、常に電源が入っていることが前提の機器のプラグを抜いてしまうと、生活に支障をきたします。
無理な節電意識でストレスを溜めてしまっては本末転倒です。待機電力の削減に取り組む際は、効果の大きい家電に絞って、ライフスタイルに合わせて無理のない範囲で行うことが、賢い節電のコツと言えます。
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コンセントを抜くリセット方法で故障は直る?

洗濯機の乾燥機能が効かなくなった、あるいはエラー表示が消えないといった不調が発生した際に、「電源プラグを抜いてしばらく放置し、再度差し込む」というリセット作業で症状が改善することがあります。
これは、現在の洗濯機が内部に搭載されたコンピューター(マイコン)によって制御されているためです。
パソコンやスマートフォンの調子が悪い時に再起動すると直るのと同じ原理で、電源を完全に落として放電させることで、システムの一時的なエラーや誤作動が解消される場合があります。
リセットの手順
- 洗濯機の電源プラグをコンセントから抜きます。
- そのまま5分~10分程度放置します。
- 再度プラグをコンセントに差し込み、運転を試します。
ただし、この方法はあくまで軽微なソフトウェア上の不具合に対する応急処置です。
もし、リセットを試しても症状が改善しない、または同じ症状が繰り返し発生するようであれば、部品の故障や寿命が考えられます。
その場合は、無理に使い続けず、メーカーのサポートセンターや購入した販売店に連絡し、専門家による点検・修理を依頼してください。
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まとめ|後悔しない洗濯機のコンセントの高さ
この記事では、洗濯機のコンセントに関する様々な情報をご紹介しました。
最後に、安全で快適な洗濯機周りを実現するための重要なポイントをまとめます。
- コンセントの最適な高さは床から110cm~130cmが目安
- 洗濯機本体の上端より20cmほど高い位置が使いやすい
- 水栓の真下は避け、横に20~30cm離して設置する
- 水漏れリスクを考え、コンセントは水栓より高い位置か同じ高さにする
- アース線は漏電による感電を防ぐために必ず接続する
- 湿気やホコリ対策として防水コンセントの設置も有効な選択肢
- コンセントがない場合は安易に延長コードを使わず増設工事を検討する
- 洗濯機は消費電力が大きいため壁のコンセントに単独で接続する
- タコ足配線や定格容量の低い延長コードの使用は絶対にしない
- プラグは基本的に差しっぱなしで問題ない
- ただしトラッキング火災防止のため定期的なホコリ掃除は必須
- ごちゃつく配線は市販のカバーですっきり隠せる
- スイッチ付きタップは小電力機器の管理に限定して使用する
- 軽微な不調は電源プラグの抜き差しによるリセットで改善する場合がある
- 頻繁な不具合は無理せず専門家による点検・修理を依頼する